手術、特に全身麻酔は怖いですよね。私は2022年、全身麻酔による手術を経験しましたが、入院するまでとても不安でした。
しかし、外科や麻酔科の先生からていねいな説明を受け、また、ご近所さんから全身麻酔の体験談を聞いて、不安も減少し手術に臨むことができました。
入院・手術になると医療費も高額になりますよね。でも、心配はいりません。
日本は公的医療保険が充実しており、医療費の自己負担は年齢や収入によって違いますが1~3割負担で済みます。
さらに限度額適用認定の申請により、さらに自己負担額が少なくなります。
これから私の体験をもとに入院・手術の流れ、医療費の負担を軽減できる制度について解説します。
本記事により、入院前の準備・手続き、入院・手術の状況、医療費の負担を軽減できる限度額適用認定や高額療養費制度の概要について習得することができます。
心と物の準備をしっかりと行い、入院・手術の不安を解消し、入院生活をスムーズに過ごし、健康な体を取り戻して退院できたらいいですね。
入院・手術の流れは?全身麻酔って怖くない?
入院前の心・物の準備と検査
私は入院前に血液・尿・心電図・レントゲン(胸部・腹部)などの検査を受けました。
安全に麻酔・手術ができるかを判断するための検査です。
手術は体にメスを入れるし、痛くないか心配。また、手術の途中で麻酔がさめたら・・・。手術が終っても麻酔がさめなかったら・・・。
など不安がいっぱいですよね。
でも、だいじょうぶですよ。外科や麻酔科の先生がていねいにリスクを含め説明してくださいます。
リスクはゼロではありません。手術内容によって違いますが、わずかですがあります。
リスクを過大評価して、手術をしないで放置するのは良くないですよね。
入院前に全身麻酔を体験されたご近所さんのお話を伺う機会がありました。
今度、初めて全身麻酔をするのですが心配です。
先生から手術の前に「麻酔の薬を入れますので、大きく深呼吸をして下さい。」と言われ、深呼吸をしたらあとのことは覚えていません。
その後、どうなったのですか?
先生から呼びかけがあり、目を覚ますと手術は終わっていました。大丈夫ですよ。(笑)
眠っている間に手術は終わったのですね。手術、がんばります。
私は現在の病状と麻酔・手術のリスク、先生からの説明などから総合的に判断し手術を選びました。
入院の2日前には時節柄、コロナウィルスに感染していないかのPCR検査を受け、OKでした。
物の準備ですが、衣類・タオル・日用品はレンタルがありますので、病院で借りることもできます。
私の場合、経費を必要最小限にしたかったので、入院に必要な物はすべて準備しました。
もれをなくすために携行品チェックリストを作成。これが入院前の安心材料となりました。
入院費・手術費は高額となりますので、事前に限度額適用認定の申請を行って、経費の負担軽減を図った方が良いでしょう。
また、民間の医療保険に加入している方は、保険会社のホームーページで確認するか、直接電話して給付金を受給するための準備が必要です。
入院携行品チェックリスト(一例)
項 目 | 品 目 | 細 目 | チェック |
入院手続関連 | 健康保険証 | ||
A病院診察券 | |||
限度額適用認定証 | |||
お薬手帳 | |||
提出書類 | 入院申込書、入院誓約書 | ||
手術同意書 | |||
麻酔同意書 | |||
印 鑑 | |||
生活必需品 | 現 金 |
2万円程度(千円札×必要枚数、100円硬貨×数十枚) |
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クレジットカード | 緊急時の出費用 | ||
携帯電話 | 充電器・イアホン含む | ||
眼 鏡 | |||
日用品 | 洗面器、タオル(大×2・中×2・小×2ぐらいの必要数)、ボディシャンプー、ヘアーシャンプー、リンス、ひげそり(電気式は充電器含む)、歯ブラシ、歯磨き粉、箱ティシュ、ウェットティッシュ | ||
衣 類 | パジャマ×3、下着(上下)×6、靴下×4、前開きの上衣(温度調整のため)(※汗を掻くことが多く下着等は予備を準備)、手術用パンツ(紙パンツ:病院の売店で購入) | ||
履 物 |
カカト付の履物 |
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食器類 | 箸、スプーン、コップ | ||
筆記具 | 黒のボールペン(書類記入時に必要)、ノート | ||
その他 | テレビのイアホン(大部屋で迷惑防止のため使用。長期入院の場合には耳が痛くなるのでヘッドホーンが良いでしょう。)、書籍・雑誌、懐中電灯(大部屋のため消灯後、必要な時に使用) |
入院から手術、退院まで
入院日は手術日の前日か2日前が多いでしょう。私の場合は前日でした。
入院当日は、病院の入院受付で、健康保険証・限度額適用認定証を提示、入院申込書・入院誓約書・手術等同意書などを提出しました。
手術当日は絶食で、手術の数時間前から飲水禁止。朝から手術の準備で持続点滴が開始されます。
手術前には手術着と手術用パンツに着替え、医療用弾性ストッキングを履き、義歯、眼鏡、装着品などをはずしました。
医療用弾性ストッキングは 足首から上にかけて段階的に圧力をかけることで血液の流れをサポート し、下肢静脈瘤、血液のうっ滞を予防するために用いられます。
女性の方は、指輪・ネックレス・ピアス、かつら・ウィッグなどをはずし、マニュキアを落とし、付け爪は除去、化粧も落とします。また、メガネやコンタクトレンズをつけている人ははずします。
手術では電気を使う特殊な機器を使用しますので、金属類が体についていると感電ややけどの恐れがあり危険だからです。また、手術の邪魔になったり、入れ歯は脱落して飲み込む危険があるからです。
私の前歯は差し歯で少しぐらついていました。麻酔科の先生から「全身麻酔をして人工呼吸の管を口から入れるとき、管により歯が折れる場合がある。」と言われました。(※術後に確認しましたが、歯は無事で安心しました。)
予定時刻になったら担当の看護師が病室に迎えにきて、手術室まで徒歩で同行。
手術室では主治医・麻酔科医・病棟看護師・手術室看護師と一緒に、名前をフルネームで答え、手術名と手術部位・部位の左右が確認されます。
手術室の中は、テレビドラマで見るような照明・器材・手術台がありました。手術台は思ったより狭く細い感じ。
手術台の上では、まさに「まな板の上の鯉」のような心境でした。
先生から「今から全身麻酔の薬を点滴から注入しますので眠くなります。大きく深呼吸を3回して下さい。」と声が聞こえ・・・。
1回大きく深呼吸をしたら・・・、その後の記憶がありません。
呼びかけの声で、ぼんやりと目を覚ますと、すでに手術は終わっていました。
手術後、3日間ぐらいキズの傷み。特に咳が出るときや体勢を変えるときに痛みを激しく感じました。
咳が出そうなときには傷口を手で押さえ、体勢を変えるときにはベッドの角度を体の動きに合わせて調整し痛みを緩和。
水を一切飲んでないので尿は出ないと思っていましたが、夜も2時間おきに尿意があり、ベッド近くに置いてあったポータブルトイレで用を足しました。
看護師さんに尿のことを聞いたら、口から水分は補給していないが、絶えず点滴で液を体に入れているので、その水分の余分なものが尿として放出されるそうです。
寝汗がひどく下着やパジャマが汗でべとべとに。手術の翌日から点滴がはずれ動きやすくなったので、洗濯機と乾燥機をひんぱんに活用。
手術3日後には退院することができ、会計窓口で入院・手術費を支払って、我が家に無事帰ることができました。
高額な医療費!でも限度額適用認定や高額療養費制度で負担軽減!
限度額適用認定の概要
健康保険に加入していれば病気やケガで医療機関にかかった時、病院などの窓口で支払う自己負担額は、原則的には70歳未満であれば3割負担、70歳以上75歳未満では2割負担、75歳以上の後期高齢者医療制度では1割負担です。
しかし、入院・手術になると支払も高額になります。そのため毎月(1日から月末)の自己負担限度額が決められています。
事前に限度額適用認定の申請を行えば、窓口での支払いが自己負担限度額までとなるので安心です。
限度額適用認定証の入手要領
私の加入している健康保険は全国健康保険協会(協会けんぽ)です。申請書類は、全国健康保険協会(協会けんぽ)のホームページにアクセスし、「健康保険限度額適用認定申請書」のPDFをダウンロードし印刷。手書き用記入例を見ながら必要事項を記入しました。
管轄の協会けんぽ支部に電話で確認したところ、限度額適用認定証を郵送するのに1週間から10日間ぐらいかかるとのことでした。
入院に間に合わないと思い、私は直接協会けんぽの支部へ出向き申請書を提出し、当日「健康保険限度額適用認定証」を受領。
なお、本人確認書類として、運転免許証と健康保険被保険者証の提示を求められました。
高額療養費制度の概要
健康保険に加入していれば病気やケガで医療機関にかかった時、病院などの窓口で支払う自己負担額は、原則的には70歳未満であれば3割負担、70歳以上75歳未満では2割負担、75歳以上の後期高齢者医療制度では1割負担でしたよね。
それでも医療費負担が高額になる場合があるため、1か月間の医療費に上限を定めています。
同一月(1日から月末まで)に医療機関で支払った一部負担金の額(自己負担額)が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた額が払い戻されます。この制度を高額療養費制度といいます。
ただし、払い戻されるのが約3か月以降になりますので、その間お金の工面が大変。
できるだけ入院前に限度額適用認定の申請をした方が得策です。
限度額適用認定の申請が間に合わなかったとき、複数の医療機関を受診したり、世帯で医療費の合算ができる場合には高額療養費制度を利用しましょう。
民間医療保険の給付金
民間の医療保険に加入している方で、入院や手術をされた方には給付金が支給されます。
保険会社のホームページから申請書をダウンロードしたり、WEB上で請求手続きが完結できる場合もあります。
私は保険会社に直接電話したところ、「病院名、入院期間、手術名、手術日」を聞かれました。
数日たって、保険会社から給付金等請求書と入院・手術状況報告書(自己申告用)が郵送。
私が加入している保険会社では提出書類が給付金等請求書のほか、入院・手術によって2つのパターンがありました。
手術の種類・規模によって、入院・手術証明書と診断書を提出するパターン、入院・手術状況報告書(自己申告用)と診療明細書のコピーを提出するパターンです。
私は後者の簡易型パターンで提出書類を郵送して10日後ぐらいには、指定口座に給付金の振込がありました。
節約のため病室は4人用の大部屋を利用しましたので、差額ベッド代は不要。これが医療費を抑えた要因となりました。
限度額適用認定証の活用により、最終的に入院・手術費と食事代、雑費込みの総費用は10万円未満で済みました。
ただし、入院が長期におよんだり、個室等が必要な場合には差額ベッド代や食事代などで医療費の支払いが高額となります。
今回、私の入院・手術の費用は10万円未満とはいえ出費の痛手はありました。しかし、医療保険のお陰で入院・手術の収支は結果的に多少のプラスとなりました。
もしもの時の医療保険に感謝でした。
まとめ
全身麻酔や手術は怖いですが、それらのリスクを過大評価して手術をしない、または不安を抱えたまま手術に臨むのはどうでしょうか?
不安があれば外科や麻酔科の先生に納得するまで説明を聞いて、手術を受けるかどうかの判断にしたらよいかと思います。
私は手術を決心したら先生を信じて、「まな板の上の鯉」みたいな心境で手術に臨みました。
健康保険証の提示で医療費の自己負担は年齢や収入によって1~3割負担ですが、入院・手術ともなれば窓口で支払う医療費は高額となり支払いが心配ですよね。
でも、限度額適用認定証を使うことにより、支払いが自己負担限度額までとなり医療費の負担が軽減されます。
限度額適用認定はシニア世代にとって心強い必須のアイテムです。
限度額適用認定の申請が間に合わなかったとき、合算により限度額を超える場合には高額療養費制度を利用しましょう。約3か月以降となりますが、限度額を超えた分の医療費が払い戻されます。
また、民間の医療保険に加入している方は、給付金の請求を忘れないで下さいね。
入院・手術はできればやりたくはないですが、病気やケガの状況を改善するために必要です。
入院・手術が決まったら心や物・お金の準備、手続きをしっかりと行い、不安をなくして入院・手術に臨み、健康な体を取り戻しましょう。
私が実際に体験したことをお話しました。あなたのために少しでも参考になればうれしいです。