iDeCoとは?税制メリット、デメリット&賢い活用法まで徹底解説!

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● 公的年金だけでは、老後の生活が不安!

● 老後は医療費や介護費で出費が増えて大変!

● 老後資金を準備する何か良い方法はないものか?

老後は医療費や介護費などの出費が増え、公的年金だけでは生活が不安ですよね。物価は上昇するばかりで、年金が増えることは、あまり期待できません。

でも、大丈夫ですよ。iDeCo(イデコ)という自分で自分の年金を積み立てる制度があります。

iDeCoは節税効果にすぐれ、長期的に無理をせずに貯蓄できる優れた制度です。

私は55歳のときに老後の生活・お金に不安をいだきFPの勉強を開始。10年の歳月をかけて65歳でCFP(日本FP協会認定)と1級FP技能士の資格を取得しました。

FP(ファイナンシャル・プランナー)が老後の生活に不安をお持ちのあなたへ、iDeCoをどう活用すべきか、制度の内容、始め方から受け取り方までをわかりやすく解説します。

この記事を読めば、あなたはiDeCoの全体像を理解でき、iDeCoをスムーズに始められ、老後資金を無理なく準備できます。

老後の不安を解消し、ゆとりある生活をお望みであれば最後までお読みください。

目次

iDeCoの制度概要と3つの税制メリット

iDeCoの制度概要

iDeCoとは?

iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、公的年金(国民年金・厚生年金)とは別に給付を受けられる私的年金制度の一つです。

確定拠出年金には、事業主が掛金を拠出する企業型DC(企業型確定拠出年金)と加入者自身が掛金を拠出する iDeCo(個人型確定拠出年金)の2種類があります。

iDeCoの加入は任意で、自分で掛金を積み立てて運用し、60歳以降に老齢給付金として受け取ることができます。 

この制度は老後の資金作りに役立ち、より豊かな老後生活を送るための手助けとなります。

iDeCoの加入資格

iDeCo(イデコ)は個人型確定拠出年金で、以下の条件を満たす方が加入できます。

● 国民年金の第1号被保険者

20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、フリーランス、学生など(国民年金の保険料納付の免除などを受けている方、農業者年金の被保険者の方を除く)

ただし、障害基礎年金を受給されている方等は加入できます。

● 国民年金の第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者かつ公的老齢年金の受給権を有しない方)

会社員、公務員等(勤務先で加入している企業型確定拠出年金の事業主掛金が拠出限度額の範囲内で各月拠出となっていない方、マッチング拠出を導入している企業型確定拠出年金に加入の方で、企業型確定拠出年金でのマッチング拠出を選択した方を除く)

● 国民年金の第3号被保険者

厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者

● 国民年金の任意加入被保険者

国民年金に任意で加入した方

・60歳以上65歳未満で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方

・20歳以上65歳未満の海外居住者で、国民年金の保険料の納付済期間が480月に達していない方

出典:iDeCoの加入資格丨iDeCoってなに?丨iDeCo公式サイト
   

iDeCoの加入方法

iDeCoに加入する際は、iDeCoを取り扱っている運営管理機関(金融機関等)で加入手続きをします。

運営管理機関ごとに運用商品や手数料が異なります。

詳細は運営管理機関のウェブサイトをご覧になるか、運営管理機関のコールセンターにお問い合わせください。

iDeCoの3つの税制メリット

掛金が全額所得控除

iDeCoで積み立てた掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」という所得控除となるため、その年の所得税と翌年の住民税の負担が軽減できます。

具体的な金額は収入によって異なりますが、シミュレーションによれば、年収500万円の40歳の会社員が月額1万円の掛金を65歳になるまで積み立てた場合、

1年の減税額は所得税12,000円、住民税12,000円、税制優遇額は24,000円です。

25年の減税額は所得税300,000円、住民税300,000円、税制優遇額は600,000円で、iDeCoの積立総額は3,000,000円となります。

iDeCoは税制優遇があるお得な制度ですよね!

出典:かんたん税制優遇シミュレーション| iDeCo公式サイト
   

運用益がすべて非課税

iDeCoの運用益は全額が非課税になります。通常、投資信託などの金融商品で運用する場合には、運用益に対して約20%の税金が課せられます。

iDeCoでは運用益に対して一切税金がかかりません。同様に分配金や預金の利息なども非課税となります。

受け取るときも税制優遇

iDeCoの老齢給付金を受け取る時にも手厚い税制優遇が適用されます。

老齢給付金の受け取り方法には、「一時金として一括で受け取る方法」「年金として分割で受け取る方法」「その両方を併用する方法」の3パターンがあります。

一時金で受け取る場合は「退職所得控除」、年金で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金と年金を併用する場合には「退職所得控除」「公的年金等控除」の両方が適用され、一定金額までは税金がかかりません。

iDeCoの仕組み(積み立て方~受け取り方)

iDeCoの積み立て方

iDeCo口座の開設

iDeCoを始めるには金融機関で専用の口座を開設する必要があります。口座は1人につき1つしか持てません。

iDeCoの口座を開設する金融機関は、銀行・証券会社・保険会社などです。

金融機関によって提供される投資信託や保険商品、手数料などが異なります。金融機関は手数料の安さと商品ラインナップで選ぶと良いでしょう。

加入の申出は、原則、金融機関を通じて、加入申出書を国民年金基金連合会に提出することによって行います。

一部の金融機関では、加入の申出をオンラインで行うことができます。書面で提出する場合は、加入申出書等の必要書類も、該当の金融機関から入手します。

iDeCoの口座を開設するときには、

● 個人型年金加入申出書

● 事業主証明書(会社員と公務員のみ)

● 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)

● 基礎年金番号がわかるもの(年金手帳など)

● 掛金の引き落としに使う口座情報がわかるもの(通帳、キャッシュカードなど)

● 口座の届出印

などが必要ですので準備しましょう。

口座を開設する金融機関から必要な申込書類一式を取り寄せ、必要事項を記入し返送します。

無事に口座開設が終了するとお知らせが郵送で届きます。口座開設は国民年金基金連合会の審査がはいるため、1〜2か月ぐらいかかります。

口座開設完了後、しばらくしてから自動的に掛金の引き落としが始まり、老後資金が蓄えられていきます。

掛金の設定

掛金は月々5,000円以上から1,000円単位で設定できます。 自分の加入資格に沿った限度額内で無理なく継続して拠出できる金額を設定しましょう。

iDeCoの拠出限度額について

           加入資格        拠出限度額
自営業者等(第1号被保険者・任意加入被保険者)月額6.8万円(年額81.6万円)(国民年金基金または国民年金付加保険料との合算額)
  



  会社員・公務員等(第2号被保険者)
会社に企業年金がない会社員月額2.3万円
(年額27.6万円)
企業型確定拠出年金のみに加入している会社員月額2.0万円
確定給付企業年金と企業型確定拠出年金に加入している会社員 月額1.2万円
確定給付企業年金のみに加入している会社員
月額1.2万円
(年額14.4万円)
公務員
専業主婦(夫)(第3号被保険者)月額2.3万円
(年額27.6万円)

出典:iDeCoの拠出限度額について| iDeCoってなに?| iDeCo公式サイト
   

老後の必要額のシミュレーション

老後にもらえる国民年金や厚生年金の総額を計算する。もし、年額240万円だとしたら、月額20万円となります。

生活費として月に25万円必要と考えると、毎月5万円不足することになります。老後が65歳から90歳までだとすると25年間です。

毎月5万円不足すると25年間で何と1,500万円の不足となります。今から老後資金の準備が必要ですね。

もし、40歳の人が65歳までを目標として積み立てをすると期間は25年です。

1,500万円÷25年÷12の計算式で、毎月5万円の積み立てが必要になります。

しかし、金融庁の資産運用シミュレーションで試算すると、

利回り3%の金融商品で65歳までに約1500万円を貯蓄するためには、毎月約3.4万円を積み立てると目標を達成することが解ります。

つまり、毎月の掛金約3.4万円の積み立てで、25年後の65歳で老後の不足資金約1500万円を準備することができます。

利回り3%を基準に投資信託などの金融商品を選ぶとよいでしょう。

出典:つみたてシミュレーター丨金融庁
   

iDeCoの運用

iDeCoは自分で掛金を出し、自分で運用方法を決め、その成果を自分で受け取る制度です。

iDeCoの金融商品の選び方は、自分の貯蓄目標やリスクに合わせて決めることが大切です。

iDeCoで選べる金融商品は、元本保証型の定期預金や保険商品と元本変動型の投資信託があります。

元本保証型は低金利で手数料を下回る場合がありますので、長期運用で収益を伸ばすには、投資信託がおすすめです。

ただし、投資信託はリスクを伴いますので、国内債券・外国債券・国内株式・外国株式の4資産にバランスよく投資することがおすすめです。

運用商品ごとに仕組みや特徴が異なります。リスクとリターンを考慮し、自分のライフスタイルや年齢に応じて見直すことも重要です。

iDeCoの各種申請と変更手続き

ポータビリティ

iDeCoのポータビリティとは、転職や離職の際にそれまで積み立てた年金資産を持ち運ぶことができる仕組みのことです。

 iDeCoの加入者が転職や離職した場合、転職先の企業が企業型確定拠出年金を導入していれば、その企業型確定拠出年金に年金資産を移換することができます。

 このように、iDeCoは柔軟なポートフォリオ管理をサポートしています。

iDeCoの加入者が60歳までに死亡した場合

 iDeCoの加入者が60歳までに死亡した場合、遺族がiDeCo口座にある資産の全額を「死亡一時金」として受け取れます。

死亡一時金の支払いは現金一括で行われ、年金形式での支払いはありません。

遺族は給付の申請を行い、死亡後5年以内に手続きを完了させる必要があります。手続きを怠ると、相続人のいない相続財産とみなされて国庫に帰属します。

iDeCoの死亡一時金は、加入年数に関係なく、加入者が亡くなった場合に遺族が受け取れます。

iDeCoの加入者が不慮の事故や病気などで障害が残った場合、加入者が60歳前でも「障害給付」としてiDeCoの資産を受け取ることができます。

また、iDeCoの加入者が60歳以降に死亡した場合、未受け取り分の残高は遺族が受け取れますが、残りの年金給付期間は引き継がれません。

iDeCoに加入したら、もしものときの手続きを家族に伝えておくか、エンディングノートなどに記録しておくのが良いでしょう。

iDeCoの受け取り方

iDeCoの受け取り方法は、以下の3つの選択肢があります。

一時金で受け取る

iDeCoで運用していた資産を一括で現金化し、一時金として受け取ります。

退職所得の扱いとなり、「退職所得控除」が適用できます。

受け取り金額によっては課税されます。

年金で受け取る

iDeCoを年金として受け取る場合、有期年金(5年以上20年以下)として扱われます。

年金を選ぶと「公的年金等控除」が適用され、公的年金と合算して65歳未満(年金合算額が130万円未満の場合)は60万円、65歳以上(年金合算額が330万円未満の場合)は110万円までが非課税となります。

年金合算額が上記よりも多い場合、金額に応じて「公的年金等控除額」は増額します。

公的年金等収入が1,000万円を超える場合、年齢に関係なく控除額の上限が195.5万円となります。

一時金と年金の併用で受け取る

一部を一時金として受け取り、残りを年金形式で受け取る方法です。

「退職所得控除」と「公的年金等控除」を併用できます。

どの方法が有利かは、ご自身の退職金や年金の控除額を考慮して選ぶと良いでしょう。

iDeCoのデメリット&賢い活用法

iDeCoのデメリット

原則60歳まで引き出せない

iDeCoで積み立てた掛金は、老齢給付金として受け取ることを目的としているため、60歳まで引き出すことはできません。

さらに、60歳で引き出す際には10年以上加入していることが条件です。

イベント資金として 途中で使う可能性のあるお金は、換金性のあるNISAなどで運用し、iDeCoは老後資金専用として活用しましょう。

元本割れのリスクがある

iDeCoで運用する資産は市場環境によって変動するため、元本割れのリスクがあります。投資信託などの運用成果は保証されず、損失が出る可能性もあります。

株式などのリスク資産に投資するため、運用成果は保証されません。

国内外債券、国内外株式など 適切なリスク分散を行い、資産をバランスよく運用しましょう。

各種手数料がかかる

iDeCoを始めるときや商品を運用するとき、口座開設や運営管理に手数料がかかります。

iDeCoを始めるときに初回手続き手数料2,829円、事務手数料が月額105円、資産管理手数料が月額66円、金融機関によって異なりますが、運営管理機関手数料が0〜数百円かかります。

運用商品を定期預金にした場合、低金利ですので手数料が運用益より高くなることがあります。

iDeCoで運用益をめざす資産形成では手数料について注意が必要です。

手数料の安いプランを選び、費用対効果を考慮しましょう。

課税所得がない人は、所得控除は受けられない

iDeCoで積み立てた掛金は、全額が所得控除となるため、所得税と住民税の負担が軽減できます。

所得からiDeCoの掛金を全額引いた金額が課税所得となります。そもそも所得が「0円」だとすると課税所得も発生せず、所得控除は受けられません。

つまり、課税所得のない人がiDeCoに加入しても所得控除のメリットはありません。

所得控除の税制優遇を受けられないのであれば、NISAなどを利用した方が有効な運用ができるでしょう。

特別法人税が復活したら税負担が増える

iDeCoには将来、特別法人税がかかる可能性があることに注意してください。

特別法人税とは「企業年金の年金積立金に対し、法人税法上課税される税金」のことを指します。

iDeCoに置き換えてわかりやすく説明すると、iDeCoの運用額が500万円なら、この資産残高(=500万円)に税金がかかるという仕組みです。

税率は年1.173%と決められているので、iDeCoの資産が500万円だとすると、

500万円×1.173%=58,650円

特別法人税が58,650円課税されます。

特別法人税はiDeCoも対象として1999年に凍結されました。

その後、凍結期間は繰り返し延長され続け、2026年3月31日までとなっています。

つまり2026年3月31日までは、iDeCoの積み立てにかかる特別法人税を支払う必要はありません。

もし将来、特別法人税が復活したら新たな税負担が増えることが懸念されます。

受け取り方によっては課税対象になる

iDeCoを一時金で受け取る場合には退職所得、年金として受け取る場合には雑所得として、それぞれの条件に応じて課税されます。

特に次の場合には、多額の税額の発生が予想されるので注意が必要です。

● 会社員の方で退職金とiDeCo一時金の受け取りが重なる場合

iDeCoの一時金は退職金と合算されて退職所得控除額が計算されますので、合算額が控除額を超えてしまう場合があります。その際、超過分が課税対象となり税金が発生します。

● iDeCoを年金として受け取る場合で公的年金の受け取りと重なる場合

公的年金とiDeCoの年金の合算額が公的年金等控除額を超えた場合、超過分が課税対象となり税金が発生します。

以上、6つのデメリットを理解した上で、iDeCoの活用方法をどうするかの判断が必要です。

iDeCoの賢い活用法

投資の基本知識の学習

iDeCoで積み立てる資産は自己責任で運用されるため、基本的な資産運用の知識の勉強が必要です。

リスクとリターンの関係、長期運用の考え方などを把握し、自分の運用目標を設定しましょう。

株式や債券、預貯金など資産クラスの配分を考えましょう。長期的に運用するため、定期的にポートフォリオを見直すことも大切です。

リスクを分散し、適切なリターンを得るために、長期・分散・積立を意識したリスク管理を適切に行いましょう。

iDeCoは節税効果に優れた老後資産を貯蓄するための有力なアイテムです。活用したら大きなメリットがあります。

iDeCoがおすすめの人

iDeCoがおすすめなのは、老後に不安を感じている人です。iDeCoを利用することで確実に老後資金を貯蓄することができます。

老齢給付金の受け取りが60歳以降となっています。途中で引き出せないので強制的に貯蓄でき、将来のために確実に老後資金が貯蓄できます。

次に、30代以降など若い方で、ある程度の貯蓄があり、長期的にiDeCoの運用ができれば、税制メリットを最大限に生かせます。

65歳までの公的年金が支給されるまでの期間が長く、長期的な掛金の積み立てが可能な方であれば、より多くの税制メリットを受けることにより多額の貯蓄が可能となります。

特に退職金制度を設けていない会社に勤めている方や、そもそも退職金という概念がない個人事業主の方には、老齢給付金の受取時に「退職所得控除」や「公的年金等控除」などの最大限の控除を受けることができおすすめです。

iDeCoで税制優遇を受けつつ老後資金を形成し、老齢給付金の受取時において節税効果を最大限に活用し、老後資金を準備することはマネープランにおいて理想的です。

iDeCoが向いていない人

収入が不安定な人は将来的に収入が少なくなる時期が続く可能性があります。このような場合、iDeCoの掛金を支払えなくなる恐れがあります。

また、近いうちに働き方を変える予定がある人も同様です。収入が安定するまでは、解約や引き出しができないiDeCoは避けた方が良いでしょう。

また、収入が少なく課税所得がほとんどない人は、掛金が全額所得控除の対象になるiDeCoの最大のメリットを十分に活用できません。

このような人にはiDeCoは向いていません。NISAなどいつでも現金化できる柔軟性のある投資がおすすめです。

iDeCoとNISAの比較

iDeCo(個人型確定拠出年金)とNISA(少額投資非課税制度)は、どちらも資産形成に役立つ税制優遇制度ですが、異なる特徴があります。

● 対象年齢

NISAは18歳以上なら誰でも利用可能。年齢の上限がないため日本の居住者であれば誰でも利用できます。

iDeCoは20歳から60歳まで。公的年金に上乗せする制度で、20歳前に働いていたり60歳以降も働いていて公的年金の保険料を支払っている人も対象です。

● 引き出しと税制優遇

NISAは、 いつでも運用中の金融商品を売却して出金できて非課税となります。

iDeCoは60歳以降の受給年齢に到達するまで資金の引き出しはできませんが、所得控除のメリットがあります。

● 運用対象と商品

NISAは株式や投資信託などの運用益や配当金が非課税になります。

iDeCoは自分で毎月掛金を払い、将来の年金を作る制度です。運用対象は投資信託や定期預金、保険商品などです。

両制度を併用することで、資産形成の幅を広げることもできます。

年齢が50歳後半の人は、長期積立の投資の基本が実施できず、時間的なリスクと税制優遇のメリットを得ることが困難ですのでiDeCoは不向きでしょう。

ただし、高収入で課税所得の多い人が掛金の所得控除を目的とするのであれば、利用する価値はあるでしょう。

高齢で課税所得が少ない人であれば、税制優遇と柔軟性があるNISAなどで投資した方が賢明でしょう。

老齢給付金の受け取り方

 60歳以降になると、それまで育ててきたiDeCoの資産を受け取る権利を得ることになります。

積み立てた老齢給付金を60歳以降75歳までの間に受け取ります。

受け取り方によって税金が変わるため、あなたの退職金や年金の控除額を調べて受け取り方を選ぶことが大切です。

具体的な受け取り方は以下の3つです。

● 一括で受け取り(一時金)

「退職所得控除額」に基づき退職所得として計算されます。

退職所得の計算方法

(収入金額(受取金額)-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

退職所得控除額の計算の表

勤続(加入)年数(=A)退職所得控除額
20年以下40万円×A
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円+70万円×(A-20年)

出典:退職所得控除額の計算の表丨国税庁HP 
   

一時金で受け取るメリット

勤続年数(拠出期間)が長くなるほど退職所得控除額が大きくなり、税金の負担が軽減されます。

一括で受け取るため、継続的な口座管理手数料や給付手数料が発生せず、経費を節約できます。

一時金で受け取るデメリット

勤続年数が短い場合は退職所得控除額が少なくなり、税金の負担はあまり軽減されません。

会社の退職金が多い場合、iDeCoの一時金と退職金を同時に受け取ってしまうと、iDeCoも退職所得としてカウントされるため、課税所得が増えてしまいます。

そのような場合にはiDeCoを年金として受け取るか、一部を一時金として受け取り、残りを年金で受け取るなどの工夫を凝らし、税金を減らせる対策が必要です。

● 分割で受け取り(年金)

公的年金等の収入金額によって雑所得として計算されます。

公的年金等に係る雑所得の速算表

公的年金等の収入金額公的年金等に係る雑所得の金額




65歳未満の方
60万円以下0円
60万円超130万円未満収入金額ー60万円
130万円以上410万円未満収入金額×0.75 ー27万5千円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85 ー68万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 ー145万5千円
1,000万円以上収入金額ー195万5千円




65歳以上の方
110万円以下0円
110万円超330万円未満収入金額ー110万円
330万円以上410万円未満収入金額×0.75 ー27万5千円
410万円以上770万円未満収入金額×0.85 ー68万5千円
770万円以上1,000万円未満収入金額×0.95 ー145万5千円
1,000万円以上収入金額ー195万5千円

出典:公的年金等に係る雑所得の速算表丨国税庁HP
    

年金で受け取るメリット

収入や年齢に応じて「公的年金等控除」が適用され、年金が控除額内であれば非課税となります。

年金分を差し引いたiDeCo資産は非課税で運用され、運用成績によって受取額を増やすことが可能です。

継続的に一定額を受け取れるため、家計の状況に応じて公的年金の受給なしでも生活できる場合もあります。

年金で受け取るデメリット

公的年金を受け取っていれば、iDeCOの年金と公的年金が合算され「公的年金等控除額」を超える金額が課税対象となります。

一時金よりも年金受け取りの税額が高くなることが多いです。

このようなときには、公的年金の受給が始まる前までにiDeCOを受け取るか、期間や受け取り方式の変更をするなどの対策が大切です。

国民健康保険に加入している方がiDeCoを年金として受け取った場合、iDeCoの年金は雑所得として扱われ、雑所得の金額が増えて翌年度の保険料が高額になる可能性があります。

● 併用受け取り

一時金や年金で受け取る場合に税額が大きくなる場合があります。そのような時には、両方式の利点を生かし、一時金受け取りと年金受け取りを併用して課税額を最小限に抑えます。

老齢給付金の受取方法を考える際には、自身のライフスタイルや税金の影響を考慮し、最適な方法を選択しましょう。

iDeCoの賢い出口戦略

複数の退職所得を受け取る場合、退職金は過去4年以内、iDeCoは過去19年以内に他の退職所得を受け取ってた場合には、「退職所得控除」の金額が調整対象となります。

               ⬇️

● iDeCoを受け取ってから退職金を受け取る期間を5年間空ける。

● 退職金を受け取ってからiDeCoを受け取る期間を20年間空ける。

以上の対策をとると、退職所得控除の勤務年数(加入年数)の調整がなくなります。

つまり、退職金とiDeCoは、それぞれの「退職所得控除」を最大限に利用することができます。

しかし、「退職金を受け取ってからiDeCoを受け取る期間を20年間空ける」のは、制度上なかなか困難ですよね。

退職金を受け取ってからiDeCoを受け取る期間をできる限り空けることで控除額を増やすことができます。

iDeCoと退職金の受け取る順番およびその間隔をどれくらい空けるか、自分にあったマネープランで実行し、税制優遇を最大限に活用しましょう!

まとめ

「iDeCoの制度概要と3つの税制メリット」「iDeCoの仕組み(積み立て方〜受け取り方)」「iDeCoのデメリット&賢い活用法」についてご理解いただけたと思います。

iDeCo活用のポイントは、

● 掛金が全額所得控除の対象となるので、節税効果を最大限に活用する。

● 金融商品はリスクを分散し、国内外の株式・債券など複数の資産に分散するバランス型を選ぶ。

● 最終的な課税額を最小限にするため、最適な出口戦略を立てる。

などです。

iDeCoは掛金が所得控除されるだけでなく、運用益が非課税で、最適な出口戦略により課税額を最小限に抑えることが可能です。

iDeCo活用のポイントをしっかりと理解し、ゆとりある老後の準備を今から始めましょう!

あなたはここまで記事を読まれて「iDeCoが老後資金を準備する最も有益な方法」であることを理解されたはずです。

早速、金融機関へ行ってiDeCo口座を開設し、運用を開始しましょう!

iDeCoをスタートさせ、将来の貴重な財産を形成し、不安のないハッピーな老後を送りましょう!

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